憲法が危ない
3.「戦争のでき る国づくり」 は、どこまですすんでいるのですか
アジア・太平洋における米軍の後方支援法(周辺事態法)

宮崎空港に米軍のヘリコプターが予告なしに突然着陸したために、 民間航空機 (全日空・日本航空など) は離着陸不能となり、 大混乱となりました (2005. 5)。 もちろんこんなことは、戦 後 6 0 年 間、 一度もおこりませんでした。 それは、今から6年前、 周辺事態法*が制定されて以降、 米軍への後方支援ができるようになったからです。
具体的には、 自衛隊施設や民間空港・港湾などの一時的使用をはじめ、 医療・給水・ゴミ処理・宿泊など国民のくらしにかかわるほとんどの分野で、 アメリカから後方支援としてその使用を要求されています。
*自民党 ・ 民主党 ・ 公明党など賛成多数で可決、 成立 (1999. 5. 24)

米軍の戦争肩代わり法(有事法制)

「9 ・ 11 アメリカ同時テロ」 をきっかけに、 ブッシュ大統領はテロとの闘いも 「戦争だ」 と宣言しました。日本政府もまた、 米軍テロ戦争への支援のために、 いちはやく 「テロ対策特別措置法」 を制定 (2001. 10) し、米軍のアフガニスタン侵攻にあたっては、 ただちに海上自衛艦をアラビア海に派遣しました。 しかし、 米軍支援の最中に、 近くで戦闘がおこったり、 それが 「予測」 されたりしたら、 自衛隊は支援活動を中止する必要がありました。
なぜなら、 海外での自衛隊の武力行使は、 集団的自衛権の行使にあたり認められていないからです。 そこで、 自衛隊の海外での支援が戦闘中でも続けられるよう自衛隊法改正と新たな法制定の必要性がでてきたのです。 戦争否定の憲法に、 明らかに違反する有事関連三法*が、 自民党 ・ 民主党 ・ 公明党などの賛成多数で生まれました。
平和を願う私たち国民は、 国の最高法規である日本国憲法に反する戦争協力法 (有事法) が国権の最高機関である国会で決められた2003年 6 月 6 日を決して忘れてはなりません。 それは、 21世紀の日本の運命を決めた日となるからです。
*自民党 ・ 民主党 ・ 公明党など賛成多数で可決、 成立 (2003. 6. 6)

日本とアメリカの戦争パートナー法(武力攻撃事態対処法)

武力攻撃事態対処法のいちばんの特徴点は、 米軍が作戦展開中、 自衛隊が給油や輸送などの支援をおこなっている場所も 「わが国の範囲」 としたところにあります。 そこは、 相手側からすれば米軍と自衛隊の見分けがつかないため攻撃の目標とされるところです。 そこで、 この法律に 「予測される事態」 を加えて、 憲法が禁ずる自衛隊の先制攻撃ができるようにして、 海外での武力行使も可能となりました。 もちろん、 この法律は国内での戦争にも適用されます。
このような戦争遂行のための法律に対して、 いまアジアの多くの人々から日本にきびしい目がむけられています。 中国が、 小泉首相の靖国参拝に対して、 くりかえし批判をしているのは、 日本が 「戦争のできる国へ向かっている」 とみているからです。
韓国もまた 「日本の有事法制の成立は、 韓半島に対するあぶない軍事的な行動」 にあたるとして抗議しました。 日本の有事法制は、あくまでもアメリカの戦争に協力する軍事的な支援づくりのための法律なのです。
*自民党 ・ 民主党 ・ 公明党など賛成多数で可決、 成立 (2003. 6.6)

「そこのけ!そこのけ!軍隊がとおる」法(自衛隊改正法)
いったん、内閣総理大臣によって、自衛隊に武力攻撃の命令がでたら、 すぐに自衛隊が動けるように自衛隊法が改悪されました。 戦争をするために、 あなたの家や土地をはじめ、 食料・医薬品・ガソリンなどあらゆるものが、 自衛隊が自由に使えるよう強制的にとりあげられます。 さらに、 空港・港湾・鉄道・道路なども自衛隊の管理下におかれます。 そのうえ、 いろいろな人たちが、 軍隊の仕事を手伝うために、 むりやりかり出されます。 例えば、 お医者さん、 看護師さん、 トラックの運転手さん、 ガソリン会社の人、 建設会社の人、 アナウンサーなどの人たちです。
このように、 個人の自由や権利の制限はもちろんのこと、 国民の生命や安全もおびやかされます。 だからといって、 命令を拒否すれば6ヶ月以下の懲役または、 3 0 万円以下の罰金刑を受けます。
*自民党 ・ 民主党 ・ 公明党など賛成多数で可決、 成立 (2003. 6. 6)
ひと握りの人が、 戦争を決める法(安全保障会議設置法改正)
戦争をはじめるときは、 ほんの何人かの政府の人たちで決めることができるように、 法律が改悪されました。 国民には、 あとで報告すればよいということです。安全保障会議は、 内閣のなかにおかれ、 議長には総理大臣が就任し、 議員は大臣がすわることになっています。 改悪された法律の第 1 条には、 「国防に関する……、 重大緊急事態への対処について審議する機関として、 内閣に安全保障会議を置く」 と記されています。
ここで審議されたことや、 決定されたことを内閣に基本方針として答申すれば、 戦争をはじめることができるようになりました。
きわめて危ないことは、 内閣総理大臣がこの会議の議長も兼ね、 自作自演の仕掛けをつくり、 国民の尊い生命を戦争へとかり出す法律をつくったことです。

*自民党 ・ 民主党 ・ 公明党など賛成多数で可決、 成立 (2003. 6. 6)

安全保障会議の構成
議 長 内閣総理大臣
議 員 総務大臣
外務大臣
財務大臣
経済産業大臣
国土交通大臣
内閣官房長官
国家公安委員会委員長
防衛庁長官
国民総かりだし体制 (国家総動員体制)

日本はいま、 まさに戦前の過ちをくりかえす道をたどっているといえます。 戦前、 日本は戦争にそなえ、 国の経済や国民生活をすべて統制できる権限を政府に与えた 「国家総動員法」 (1938) を制定しました。 国家総動員体制とは、 日本の政治・経済・社会のシステムを戦争ができるようにつくりかえるものです。 これにより、 日本は太平洋戦争が終わるまで、 物資や労力、 財政などを戦争のために動員し、 軍国主義の国となりました。 こうして国民は、 あらゆる面で制限をうけ、きびしい生活を強いられました。
国民は、 「お国のために」 という教育によって、 戦争にかりだされていったのです。

国民の自由と権利をうばう法 (国民保護法)

名前こそ 「国民保護」 ですが、 わかりやすくいえば国民を 「統制する」 法律です。 この法律は、 有事法案が国会に提出されたときに、 いっしょに審議されるはずでした。
しかし、 国民の権利や自由をうばう大変な内容を含んでいたために、 有事法が成立した翌年に国会へ出されました。
国民保護法には、 3つの問題点があります。
1つは、 「武力攻撃が予測されるに至った事態」 と政府が判断すれば、 どういう状況にあろうが、 どこから出た情報だろうが 「戦時」 になります。 そうなれば、 自治体の自主的判断をこえて総理大臣にすべての権限がうつり、 生活関連の物資はもとより個人の住宅、 土地さえも強制的に収用できることとなります。
2つは、 平和なくらしから 「戦争」 を想定した日常生活がはじまるということです。 役所やテレビ局、 病院では 「戦時」 のための計画をつくり、 「戦時」 のための組織づくりが強まります。 つまり、 戦争を準備する社会へと変わっていくことです。
3つは、 「戦時」 にそなえた教育や地域づくりをおこなうとしていることです。 国民に 「愛国心」 や 「国防意識」 をうえつけ、 国民の自由と権利をうばう国家主義の復活です。
*自民党 ・ 民主党 ・ 公明党など賛成多数で可決、 成立 (2004. 6. 14)

教育基本法と憲法第9条は車の両輪(教育基本法改悪)

2 , 0 0 0 万人をこえる犠牲者をだした太平洋戦争。 その深い反省のうえに日本国憲法がつくられ、 この精神にそって制定されたのが 「教育基本法」 (1947) です。しかし、 憲法改悪の動きと併行して、 教育基本法をかえようという人たちがでてきました。
この人たちは、 つぎのように主張しています。
■「日本国憲法に則り」 の条文をなくす。
■教育の目的を 「一人ひとりのいのちを大事にする人づくり」 から 「国を愛する心と、 戦争を賛美する人づくり」 へとかえる。
教育基本法をかえようとする人たちの本当のねらいは、 子どもたちに戦争への使命感をうえつけ、 徴兵制にも文句ひとついわず、 戦争にすなおに協力する人間をつくることです。
「憲法第9条」 と 「教育基本法」 は、 平和な日本をつくっていく車の両輪です。