昨年、妊娠している奈良県の女性が出血を伴う腹痛で救急車を呼んで産婦人科へ行こうとしたが、10ヶ所以上の病院から断られてたらい回しにされ大阪で流産してしまった事件があった。女性は一回5000円程度かかる妊婦検診を一度も受けていなかったという。
多くの病院が、「ほかに分娩が連続していた」「とても責任を持てる状況ではなかった」として入院を断ったためだが、社会的反響が大きく舛添厚生労働大臣と奈良県知事が再発防止のための会談を行うほどであった。
しかし、全く問題は解決していない。それどころかその緒にもついていないのではないか。小泉構造改革路線により社会のあらゆる面で格差が拡大し、若者を中心に貧困が進行している。福田首相が2008年度予算で強調する「若者に夢を、高齢者に希望」とは何を指しているのであろうか。
昨年、県北の日之影町で行われた医療シンポジュームを大きな契機として宮崎県の医療の実態そして日本の医療が本当に深刻な状況に陥っていることを実感するのである。高千穂町立病院長の言葉が忘れられない。
最近、小松秀樹東京虎ノ門病院泌尿器科部長の新潮新書「 医療の限界」を読んだ。先進国の中で日本の医師や医療費が如何に少ないか、そして医療が未だ完全ではない中で、完璧を求められ多くの医師が病院から辞めていっている現状が描かれている。
そこに2004年に福島県立大野病院でおきた医療事故などが紹介されている。大野病院事件とは、産婦人科専門医が帝王切開手術を行い女児分娩後子宮内壁に癒着していた胎盤を、手術用はさみであるクーパーを使うなどして無理に剥離し、その結果として大量出血を引き起こして失血死させたという業務上過失致死と、異常死について警察に通報しなかったという医師法違反で逮捕された事件である。
現在係争中であるが、このような事例の前に産婦人科医師たちは立ち止まっているという事情もあるのではないか。
政府は、ある時は医師養成を推進し、ある時は抑制するなどして対応してきたのである。その不備を突かれ大あわてしている医療政策はまさしく失政といえるのではないか。ただ、医師研修制度導入のみではないであろう。そして宮崎県の県立病院も深刻な事態を迎えつつある。
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