8月末に常任委員会の県外視察があった。移動時間などの空き時間に読もうと佐高信・内橋克人編の「城山三郎命の旅」を持参した。作品の紹介や対談集などで構成されていたが、共感するところが多かった。帯には「経済の表裏を知悉し、日本の行く末を案じ、人間の実質を考え続けた作家の魂の遍歴」とある。
共に今年没した宮沢喜一元首相との対談で、宮沢氏は「私は戦前の「一億一心」的な部分は国定教科書に罪があると思っていました。ところが、敗戦になってそれがなくなったら、今度はマス・コミュ二ヶーションが世論を支配している。大新聞は数百万部という単位で読まれていますし、テレビにもキー局というものがあって、全国の国民が同じような映像を見ることになっている。ですから、その気になれば「一億一心」に国民を操縦することは容易なのではないかと思いますよ。」
亡くなった奥さんを思う城山三郎氏のエッセィがあった。「茶飲み友達というのがあるでしょう?。お茶を飲みながらしゃべる。それとは別に、「旅友達」というのもあっていいと思うのです。彼女はまさに、私の旅友達でした。しゃべらなくてもいい。ある土地にふたりで行って、風景を見ながら時を過ごす。1人だとボーッとすることもできません。何か目的があるようにしていないと、回りに心配されてしまう。それがふたりだと、黙って時間を過ごすことができる。黙っていても、声にならぬ会話がある。世の中は、1人で生きるようにはできていない。そう感じます。」と語っている。
惜しい人々を亡くしたなと思いながら、心打たれる内容に共感し一気に読んでしまった。人間、どこに足場を置いて社会を見るかと言うことを感じさせた一冊であった。
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